開発室
保冷材は何でできているの?
吸水性樹脂(高吸水性ポリマー) (英)hydro-gel polymer
自分の重量の数百~数千倍の重量の水を吸うことができる高分子。
高吸水性ポリマー、吸水性高分子ゲルなどともいう。
一般には、アクリルアミド、アクリル酸からできる水溶性高分子を架橋して、水に不溶で、しかも大きく膨潤する構造にすることによって得られる。
ソフト・コンタクトレンズや紙おむつ、女性の生理用品などに使われているが、膨潤‐収縮する性質を利用して、薬物送達システム(DDS)や農業などに用途が広がっている。
えっ、分からない?(゚Д゚;)
簡単に言えば、水を吸って膨らむという特性をもった樹脂です。
保冷材の中身を乾かせば(天日干し)白い粉が残るのでやってみましょう。
残った白い粉はまた水を吸ってまたゼリー状になります。
トライカンパニーのある沼津市ではこの天日干しの風景が町の風物詩です。(嘘)
その他の薬品
数種類の薬剤(少量の形を整えるための薬品 腐敗を防ぐための薬品)
詳しい事は企業秘密です。それに実験しても余り面白くないかも(_ _)ゞ
包装フィルム(袋)
ナイロン+ポリエチレンのラミネートフィルム
燃やしてもダイオキシンが発生する直接の原因にはなりません。
包装フィルムを研究すればとても面白いと思いますが、それは来年のお楽しみ。
水
H2Oです。水道水なので厳密に言えば少量の不純物が入っていますが。
「なんだ水か、たかが水か」ではありません、されど水なんです。
水とは、最も身近なものでありながら自然界の中では最も不思議な物性を
持つものです。
- 熱容量 水の熱容量はアンモニアを除く全固体および液体の中で最高
- 熱伝導率 全液体の中で最高
- 融解潜熱 0℃で79.7cal/gであり、アンモニアを除いて最高
- 蒸発潜熱 100℃で539cal/gであり、全液体の中で最高
すごいでしょう?
野球選手ならイチロー、光栄の三国志では曹操みたいな奴なんです。
どうしてゼリー状なの?
- 物質の性質として水はその純度が高ければ高いほど早く凍り、また氷でいる時間が長くなる性質を持っています。
つまり、混じりっけのない水で作った氷ほど長持ちをするということです。
その点で、保冷材は、<保冷材は何でできているの?>で述べたように水だけでなく薬剤など混ぜものが入っているため、普通の水で作った氷よりも長持ちしない理屈になります。
ところが、実際に実験してみるとわかるのですが、融け終わるまでの時間は保冷材のほうが長くなるのです。 - 同じ重さの保冷材と水を同じ条件で凍結させ、完全に凍ったあと取り出して放置し、融け終わるまでようすを見ます。
できれば温度計で温度を計測するとよいでしょう。 - 保冷材のほうが氷より長持ちをする理由
氷は、融けるとき、解け出した水が自然に対流をはじめ、残った氷自身を融かしていくはたらきをします。
グラスの氷を融かすときは、コップを揺らして水と氷をかき混ぜますよね?
このはたらきが対流で自然におこるのです。
一方、保冷材はゼリー状なので、袋の中で水の対流が起こりません。
その分だけ融ける時間が延びるのです。
保冷材の仲間を探そう
身近な物から高吸水性ポリマーを見つけて保冷材を作ってみましょう。
生理用品や紙おむつを分解すると綿の間から白い粉が出てきます。
分かっているとは思いますが、必ず使用前の物を分解してください。
この白い粒が高吸水性ポリマーです。
この粉を集めて、水を入れるとグングン膨れて、ゼリー状になります。
これを袋詰すれば保冷材とほぼ同じ物の出来上がりです。
高吸水性ポリマーはもともと土壌改良用に1974年アメリカで開発され、1978年に生理用品として始めて商品化されました。
この、すごいスピードで数百倍から数千倍の水を保水できる性質を利用して、「建材」や「砂漠の緑化計画」に役立っています。